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Re:DED
落書きばかりです。色々ごちゃ混ぜ。3までネタバレ。
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昔書きかけのものをサルベージ。
3が出る前の、龍司生きてたら狭山と暮らせばいいのに妄想の成れの果て。
なんつーか、シスコンとブラコンです、身も蓋もない話。



 




笑う女からは薄い香水の匂いがして、妙に龍司は居心地が悪くなる。うす甘い香りが溶け込んだ冷たい空気を吸い込むたびにさっきから頭がぐらぐらしてくる。熱があるのかもしれない。
「薫」
女が自分の方を向いて、にこりと目を細めて笑う。目にした途端、臓物をやさしく掴まれたような気分になり、龍司は不安で仕方なくなって泣きたくなる。
「たまに、めっちゃたまに、どーしようもないくらいわしは死にたくなる」
「うん」
「それと同じくらい、頭いかれてるかと自分でも思うくらい生きたくもなる」
「……うん」
「自分のためにしか生きれへん。自分のためにしか死ねへん。ようやっとこの年になって、気付いた」
「多分、母さんに似てるんよ」
私もそうやし。声に少し遅れて、額に白くて冷たい指が伸びてきた。細い指がしなるように付け根まで触れてから、すぅっと離れていく。その感触で、とても昔、幼かった頃に熱を出した時のことを龍司は思い出す。
「やっぱり、熱少しあるみたいよ」
「かおる」
「どないしたん?」
「怪我、してへんか」
どうしてこんなにも育った環境も考えも何もかもが違うのに、女から漂うのは硝煙だとか血の香りばかりなのだろう。なぜ自分と同じ匂いしかしないのか。
どんなにあらがっても無駄で、死と暴力からは逃げられないのだと、体中を流れる血液の一滴までがあざ笑っているように思える。遠い遠い昔から伝わってきた、人殺しの血が。
「大丈夫よ、いつも通り」
「ほうか」
「なぁ、ひょっとして心配してくれてたん?」
「そりゃお兄ちゃん、心配で心配で死んでしまうかと思うたわ」
頭の上で吹き出して、阿呆やなぁ、と狭山が笑う。その顔が遥か昔に見た母親の顔と二重に見えた。、急に肋骨の裏辺りが軋むような気がしてきて、龍司は何も言えないくらいにかなしくなる。さっきから吐いている息が熱い。
「もう、うちかて子供やないんよ」
「知っとる」
ふふ、と笑い声が聞こえた。額を撫でる指が離れて狭山の口を隠す。
「どうせ、心配ぐらいしか出来へんしな」
どれだけ足掻いたってもうこの世で二人っきりの鬼の生き残りなのだから、こんな寂しい世界に一人置いていかないでくれ。



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ついでにマザコンも兼ねてる龍司。どうでもいいですが薫はファザコンです。
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